動作解析や骨格推定を行う上で、「どのカメラで撮影するか」は非常に重要なポイントです。
MediaPipeなどの骨格推定ツールは高性能ですが、入力される映像の画質や補正精度、安定性が分析結果に直結します。言い換えると動作や環境に応じた適切なカメラを選択することで、現場でも高精度の動作分析を可能にできます。
本記事では、これまでにKTRが使ってきた4種の異なる特徴のあるカメラに注目し、それぞれの特徴・強み・選び方をまとめてみました。
✅ 各カメラの比較表(特徴と適性)
現実的に個人で利用できるかカメラとしては、下記のようなカメラが候補に挙がります。カメラによって価格帯やカメラの性能などが異なるため、自身のやりたい骨格推定に応じて使い分ける必要があります。
カメラ機種 | 特徴/強み | 向いている用途 |
---|---|---|
iPad(Pro等) | 手軽/即時再生/その場で完結 | 教育・講義・フォームの自己評価 |
ハンディカム | 三脚運用に最適/長時間安定撮影 | 定点観察・リハビリ・実験記録 |
GoPro | 高fps/超広角/マルチリモート操作可 | スポーツ分析・フォーム比較 |
Insta360 Ace Pro / 2 | 8K高画質/AI補正/夜間対応 | 精密解析・高画質記録・研究用途 |
iPad|最も手軽で導入しやすいカメラ
iPad(特にProモデル)は、カメラだけではなく、いろいろなアプリが付随してくるので、骨格推定以外の要素にも利用できるのが大きな利点であるといえます。また動画編集もしやすく、すぐにmediapipeなどの骨格推定に回すことができるのも良い点です。
👍 ポイント
- ソフト・ハードの親和性が高く、ストレスなく扱える
- iMovieやCapCut等で簡単編集→解析が可能
そのままのファイルだと.movファイルであることが多いのでmp4に変えたりするのが少し面倒なところもあります。
また骨格推定アルゴリズムのひとつでもあるOpenCapのアプリもiPadが複数台あれば利用できるというのも他のカメラにはない利点です。
ハンディカム|安定した定点観察に最適
施設など、「定点で記録し続ける」場面では、ハンディカムが最も安定。
三脚に設置しておけば、録画ボタンだけでミスのない記録が可能で、ズーム機能によって注視ポイントを拡大して記録できます。
近年のハンディカムは軽量で高画質なうえ、音声収録にも強く、会話やナレーションのついた動作映像を残したいときにも便利です。
👍 ポイント
- 安定した画角と音声付きの長時間録画ができる
- 広角すぎず自然な映像で骨格推定にも向く
何にせよ、クラシックで面倒な機能がないため、簡便で使いやすいのがハンディカムの良い点とも言えます。アプリを利用すればリモート操作も可能です。
GoPro|マルチ視点の撮影ならこれ!
GoPro(特にHero10以降)は、最大240fpsの高速フレームレート・広角・防水・リモコン制御という「現場力」に優れたアクションカム。
さらに、GoPro Smart Remoteを使えば複数台を一斉にリモート撮影でき、左右同時・斜め後方からのフォーム収録が可能になります。GoProの特徴のうち、マルチカメラを簡単にハード上で行うことができるという点は個人的にかなり良いと考えています。メートル座標系で出力される骨格推定アルゴリズムを矢状面と前額面の映像にかけてやるとより精度の高い3dの骨格推定が可能になります。
また投球動作などのスポーツにおける高速動作のキャプチャ、瞬間的な動作を滑らかに記録できる点で、骨格推定の安定性が格段に向上します。
👍 ポイント
- リモート一括制御で複数視点が同時記録可能
- 高fps対応で滑らかな動作分析に最適
多面での3d計測を検討しているのであればGoProは十分に候補に挙がると思います。
Insta360 Ace Pro / Ace Pro 2|画質・補正を求めるならこれ一択
Insta360 Ace Proシリーズは、8K録画・AI補正・暗所性能・手ブレ補正・ライカレンズ搭載と、
「1台で最高品質を狙う」骨格推定に最も向いたアクションカムです。現在KTRが動作分析とかに持ち歩いている機種がこちらになります。
広角撮影時の歪みもデワープ補正で最小限に抑えられ、AIによる動体追尾や逆光補正も非常に優秀。
夜間や教室のような光量が少ない場所でも、安定した骨格推定を可能にします。
単体使用が前提になるのが、GoProと比べた時の数少ないデメリットかなと思っています。
👍 ポイント
- 最も高画質で、自然な人体の動きを正確に記録
- AI処理が優れており、MediaPipeとの相性◎
まとめ|解析目的に合わせた「最適カメラ」を選ぼう!
目的 | ベストな選択 |
---|---|
初学者や教育・簡易評価 | iPad |
定点観察や患者の日常動作収録 | ハンディカム |
多視点撮影やスポーツ動作 | GoPro + Smart Remote |
高画質・精密な研究用途 | Insta360 Ace Pro / 2 |
個人的には、スポーツ分析で定点かつ高速の動作であればGopro、机上での動作を高画質であれば、insta360 Ace Proがおすすめです。
今後の展望
今後はこれらのカメラで撮影した映像を用いた骨格推定アルゴリズムの紹介や深度情報への変換などいろいろな解析例を共有していきたいと思っています。
またアプリ化を検討するのであればOpencvを駆使してWebカメラを利用する方法もあります。これらについても今後記事化していきたいと思っています。
質問などがあればX(https://x.com/shimitaro_108)までお願いします。
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