【STEF×動作分析】簡易上肢機能検査を運動学的に可視化するWebアプリの活用法!

python

✅ 概要

STEF(Simple Test for Evaluating Hand Function)は、上肢・手指の巧緻性や協調性を測る臨床評価です。この検査は網羅的に様々な物品操作能力を評価することができる利点はある一方で、STEFの評価結果は得点と遂行時間によって行われることが一般的です。

従来のスコアの評価に加えて、動作を構成する要素を代償動作などの観点から評価することで、STEFを有効に活用できる可能性があると考えています。


本記事では、前回までに紹介してきたmediapipe poseを使った動作の定量化手法をSTEFに適用することで、スコアと時間による評価をさらに一歩進める試みをしていこうと思います。


✅ STEFとは?

  • 名称:簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function)
  • 構成:10課題(大小球体・円板・布・ピンなど)
  • 評価方法:各課題10点満点、合計100点
  • 特徴:重量物品把持」・手指の巧緻動作、実生活に近い課題を網羅

STEFの実際の計測方法やスコアの書き方については、こちらの方のURLの記事(URL: https://rehab-rooms.com/stef/)が詳しく説明されていますのでご参照いただければと思います。


✅ 動作の特徴と分析ポイント

🟢 重量物品の移動課題(大球・大直方)

  • 重量物品を把持して移動する課題
  • 物品の把持力と手指の可動性が求められる
  • 物品を左右に移動させる可動域も必要

🔵 ピンチ課題(小立方・ピン・小球など)

  • 精緻な運動制御と指の協調が必要
  • 前方へのリーチ範囲も求められる。

🟣 回内・回外動作(布)

  • 布をつまむ動作と手関節の回内外動作が必要になる

✅ Webアプリによる可視化・定量化

pythonベースでコードは書かれていますが、完全にwebアプリ化されているため、ブラウザでアクセスするだけで利用することができます。

webアプリの構成は二段階となっていて、一つ目は動画ファイル(mp4)に対してmediapipe poseの骨格推定を行うことで、座標データに変換するプロセス、二つ目はcsvファイルとして座標化されたデータをロードして、その動作の区間中のスティックピクチャと最大肩関節外転角度とその時の肩峰挙上角度を算出しています。詳細な機能については下記のリストにまとめてあります。

本アプリで解析できる動画時間はアプリのメモリ容量の関係で10秒に限定されています。そのため、長時間の動画の場合は、解析したい動作が含まれてる範囲に切り出す必要があります。

また骨格推定のミスを極力少なくするためには、背景にあまり人が映っていない状況にしておくことが望ましいです。そのため、被験者の背中側に衝立を立てたり、背景を壁にしたりなどの工夫をする必要もあります。

アプリのURLの記事はこちら:http://ktr-project.net/?p=109 

             :http://ktr-project.net/?p=115

機能一覧

  • MediaPipeで骨格座標を取得(CSV形式)
  • スティックピクチャで動作可視化(ピクセルベース)
  • 肩関節の最大外転角・挙上角の計算
  • PNG形式での図の出力、ZIPまとめてDL対応

✅ 活用シーン・メリット

このアプリの使い道としては、観察による質的評価を数値定量化する点にあるといえます。特に一連の動作を連続軌跡として残すことができるのは動画での観察と比べた際の大きな利点になると考えます。

また、物品を把持したり移動したりする際の代償動作を見ることができる点や関節角度としてデータ化して記録することができるため、前後比較や研究データの収集にもある程度利用できる可能性があります。

活用シーン内容
上肢機能評価の補助定量的な“動きの質”の確認が可能に
教育・学習支援スティックピクチャで視覚的に理解
研究データの収集CSV/PNG形式での保存・活用が容易
説明・モチベーション向上自分の動作変化を“見える化”できる

✅ まとめ

STEFは上肢の機能評価で非常に多用される評価ですが、スコアだけでなく動作そのものを“見える化”する視点を加えることで、より精緻な評価や、教育・研究・共有に活かすことができます。

このwebアプリはSTEFに限らず、Manual Function Testや他の物品把持課題や食事動作などにも適用することができると考えています。動画さえ撮影しておけば良いので、試しに使ってみてくれると嬉しいです。

気になる動作を動画として残しておけば、事後的にでも解析することが可能になったことに技術の進歩を感じます。

✅ お問い合わせ

この動作に使える?などの質問があれば、お気軽に X(https://x.com/shimitaro_108)までどうぞ!

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